フランスの女優、アンナ・カリーナさんが亡くなりました。享年79歳。
僕は、60年代初頭の音楽は詳しいけれど、映画については全く詳しくないのです。
それには理由があります。
中学生の時、ある出来事をきっかけに、「もう映画など見ない」と決意したからです(もっとも、ずっと後になってから、
知人に誘われてたまに映画館に行ったり、宿泊したホテルでビデオを見たりはしていましたが)。
その出来事。
当時、神戸の「ラジオ関西」で「電話リクエスト」という人気番組がありました。
毎日、夜7時(もうちょっと遅かったかな?)から始まるこの番組に、くぎ付けになっていました。
かかった曲を、毎回メモって、リストを作っていたぐらい、のめり込んでいました。
1962~63年頃だったと思います。
ほぼ年間に亘り、毎日のようにかかっていたのが、「ロジェ・フランス楽団」の「男と女のいる舗道」。
軽快なインストメンタル・ロック・ナンバーです。
僕は、その曲が大好きでした。
少なくとも「神戸」においては、「ポップス黄金期」1962~63年の最大のヒット曲でした。
でも、不思議なことに、東京のキー曲では、ほとんど全くと言っていいほど、取り上げられることはなかった。
ジャン・リュック・ゴダール(その奥さんがアンナ・カリーナ)という映画監督の、1962年に公開された映画「女と男のいる舗道」の主題曲 であることを知りました。
その映画が、神戸三宮の「新聞会館」で上映されました。
僕は、それを見に、勇んで「新聞会館」の映画館に駆け付けました。
しかし、入り口で入場を拒否されたのです。
理由は、、、、。
主人公、すなわちアンナ・カリーナの扮する女性の職業が、「娼婦」であったこと。当時は、(今では信じがたいことだけれど)それだけで、18歳以下鑑賞禁止、とされていたのです。
その時のガッカリした気分を、ついこの間のように思い出します。
余りの理不尽さに腹が立つのと、どうしても諦められないので、中学の担任(数学藤岡先生)に相談に行きました。数日後に、藤岡先生に付き添って貰って、映画館に再交渉に訪れました。
交渉の結果は、「学生服を脱いで来たら入場を認める」。
益々腹が立ちました。じゃぁ見ない、もう金輪際映画なんか見ない。
その時貰ったパンフレッドが、今も段ボールの中に仕舞ってあります。
そこに写っているアンナ・カリーナさんは、僕の憧れの女性であり続けました。
同時に、僕が世の中の「勝手さ」に嫌気が差して背を向け始めた最初の出来事だったのかも知れません。
後日談があります。
最近のことです。
インターネット上のユーチュブで、60年代初期の曲をチェックしていた時、たまたま「女と男のいる舗道」に出会いました。
(僕がリアルタイムで見る/聴くことが出来なかった)「男と女のいる舗道」の挿入曲に、50年以上の時を経て、やっと出会えたのです、、、、、、と思いきや、、、、、、ちょっと違う????
確かにメロディは「女と男のいる舗道」なのだけれど、昔僕が「ラジオ関西」で聴いていた曲のような、ビートの利いたロックン・ロール曲ではないのです。
調べてみました。
間違いなく、映画に挿入されていた曲が、真の「女と男のいる舗道」のオリジナルでした。そして、僕が聞き続けてきた、当時の「関西限定」の大ヒット曲、ロジェ・フランス楽団「男と女のいる舗道」は、コピー曲だったのです。いかにも「フランス」っぽい、「ロジェ・フランス楽団」、実は、日本のスタジオバンドがでっち上げた“偽物”だったのです。
でも、今でも、この“偽コピー”の「女と男のいる舗道」のほうが、断然素晴らしい、と信じています。思えば、日本の「音楽」も捨てたもんじゃないです(いつもはボロクソに言っているのですが、笑)。
アンナ・カリーナさん、、、、懐かしいです。僕にとって、永遠の憧れの女性であることには変わりありません。
https://www.youtube.com/watch?v=0wRrh9szs_E
↑僕が見る(聴く)事の叶わなかった本物のサウンド・トラック。
https://www.youtube.com/watch?v=JNiJ-L70PB4
↑本物の偽物!!!
ごめん! 涙が溢れてたまりません、、、(ジャケットの写真は昔と一緒、楽団名がミスで入れ替わってる)。